庖丁の製造工程

打刃物の技でつくられる庖丁は、火と鉄と水が生み出す工芸品。その工程は、大きく「鍛造」「研ぎ(刃付け)」「柄付け」の3つに分かれます。分業体制によって各工程をそれぞれのプロが手がけているのも特徴。各職人が技術を高度に磨き上げることで、他産地の追随を許さない最高品質を維持しています。

鍛造工程

鍛冶職人の手で材料となる鉄や鋼を「鍛造」する工程です。鍛造とは「金属を鍛えてつくること」。

燃え盛る炎の中で材料を真っ赤に熱し、金槌や動力ハンマーで叩き延ばしていきます。

刃の強度としなやかさを共存させるため、硬い「刃金(鋼)」と軟らかい「地金(軟鉄)」の2つを接着してつくるのが基本です。

▼主な工程(一部抜粋)

◎刃金付け

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約1000℃の炉の中で熱した地金(軟鉄)に刃金(鋼)を重ねて打ち合わせることで、2つの金属を接着させます。

何度も火入れをして打ち延ばしながら、庖丁の原型をつくります。

◎先付け・中子とり

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動力ハンマーで叩きながら、地金と刃金をさらになじませます。

庖丁の形に整えた後、再び炉で熱し、叩き延ばしながら柄に挿す部分(中子・なかご)を形づくります。

◎焼き入れ・焼き戻し

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再び加熱した炉に庖丁を入れ、一気に水につけて急冷することで刃金の硬度と切れ味を高めます(焼き入れ)。

さらに、一旦冷ました庖丁を再び炉に入れ熱することで、刃金に粘りを出し、欠けにくい刃にします(焼き戻し)。

どちらも温度管理が重要で、職人は炎の色で最適なタイミングを見極めます。写真右は鍛造工程の完成形です。

研ぎ(刃付け)工程

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研ぎ職人による刃研ぎや研磨の工程を経て、庖丁に鋭利な刃を付けていきます。この工程を「刃付け」ともいいます。

まずは、刃の表面を荒い砥石で研ぎ、刃先の厚みを落とし、形を整える「荒研ぎ」を行います。

続けて平らな面を研ぎ進めた後、刃先を研ぎ上げる「本研ぎ」、裏面を薄く研ぎあげる「裏研ぎ」へと続きます。

目の細かい砥石で仕上げ、錆び止めの油を塗った後、柄付け職人へと送られます。

最高の切れ味を生むには、歪みのない真っ直ぐな刃が必要。

各工程で歪みが出ないよう、細かな微調整を行いながら作業を進めていきます。

研ぎ(刃付け)工程

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男子鬍鬚

鋭く研ぎ上げられた庖丁に、柄を付ける最終工程です。

柄の中や庖丁の中子を十分に熱した後、中子を柄に差し込みます。

柄の底を木槌でトントンと叩くと刃が自然に柄の中に入っていきます。

刃を歪みなく垂直に差し、重心のバランスを整えるのが職人の腕の見せ所。

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何度も確認しながら調整を行った後、最後に金槌と鏨(たがね)で、ブランド名を彫り込めば、庖丁の完成です。